日立風流物~7年に一度の神峰神社大祭礼は、なぜ大雄院通りで行われるのか
2019年(令和元年)05月03日(金)~05日(日)。
茨城県日立市宮田町にある『大雄院通り』で、神峰神社 大祭礼 日立風流物の演技が催されました。
2005年に初めて大雄院通りに来たとき、「なぜ、こんな通り(=大雄院通り)で日立風流物を行うの?」と疑問が湧きました。
http://ibaraki-daisuki.main.jp/burari/2005/050504_02_kamine_taisairei_050818.htm
『日立さくらまつり』の日立風流物は、平和通りで行われる
平和通りの日立さくらまつり
桜の時期の毎年04月、常磐線日立駅前から延びる「平和通り」にて『日立さくらまつり』が催されます。平和通りに植えられた桜の花が見頃を迎えるとあり、日立市内外から多くの観光客が『日立さくらまつり』に訪れます。
毎年開催される『日立さくらまつり』では、4つの町(東町、西町、北町、本町)が毎年1年ごとに持回りで山車を平和通りに用意し、日立風流物の演技を行います。なので、日立風流物の山車と言うと、平和通りを連想させます。なのになぜ、大雄院通りで大祭礼の日立風流物は催されるのでしょうか?
大雄院通りの神峰神社大祭礼
『大雄院通り』は神峰神社やかみね公園が近くにあり、国道6号と接続する通りです。神峰神社に訪れる人やかみね公園(遊園地、動物園)に訪れる人が、この辺りに来るのは理解できます。
しかし、『神峰神社 大祭礼』がなぜ『大雄院通り』で催されるのか?ここ『大雄院通り』とは、何なのか?その回答を自分なりに導きました。
(私自身、「日立風流物」を観に来る目的から始まった日立訪問だったので、日立の歴史を積極的に調べるスタンスではありませんでした。そのため、この答えにたどり着くまでに、10年以上も時間が掛かりました。)
大雄院通りは日立鉱山労働者の、中心街だった
イトーヨーカドー日立店で開催されたパネル展で、大雄院通りの共楽館や、電気鉄道の歴史、本山地区の歴史等、初めて深く日立の歴史に踏み込むことができました。
11/19(日)パネル展が開幕しました!
多数の写真が並びまして、ふら~っと会場を一周した後は共楽館通になっていること間違いなし。100年間がんばり続けている木造建築が #日立市 にあることだけでも、覚えて帰ってくださいね。#共楽館 100周年パネル展、イト―ヨーカドー日立店にて11/26(日)まで開催中— 共楽館を考える集い (@kyorakukan_100) 2017年11月20日
精錬所のあった大雄院地区
かつての日立市の中心地は日立鉱山(本山地区)や、日立鉱山の精製所があった大雄院(だいおういん)地区でした。炭鉱で働く人達は、鉱山があった本山(もとやま)地区や大雄院地区に住み、生活を営んでいました。大雄院地区には大雄院小学校(1909-1979)ができ、最盛期には約1200人の学生を抱えていました。
娯楽施設として利用された共楽館
また、日立鉱山の労働者の娯楽施設であった「共楽館」(今は日立武道館と呼ばれています)では、歌手が歌を歌ったり、演劇が催されたりして、労働者やその家族達を楽しませました。今でこそ、大雄院通りは静かな町ですが、当時は活気のある町だったのです。
展示展「ふるさと日立と共に」(主催:共楽館を考える集い)
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電気鉄道が常磐線助川駅と大雄院をつないだ
助川駅(今の日立駅)前からは、 日立鉱山電気鉄道が本山地区まで走っていました。鉱物や塩酸(鉱物から銅を採りだすために使用する)などを運ぶほか、本山地区に住む住人が乗車できる旅客営業も行っていました。最盛期には24時間、電気鉄道は運行営業していました。
1908年(明治41年)に運行を開始した日立鉱山電気鉄道は、精錬所の合理化や、トラック、バスの運行に取って代わられ、約20年後の1960年(昭和35年)に廃止となります。
日立鉱山労働者の主な住居地区だった大雄院通り
日立鉱山がある本山地区と、精錬所のある大雄院地区は、日立の産業の中心地でした。その二つの拠点をまっすぐ下りてきた道路が、大雄院通りだったです。
日立鉱山の歴史の重要地域であった大雄院。そこへつながる通りを重んじて、神峰神社大祭礼のメイン会場に使われている。そういう意味があって、「大雄院通り」が会場だったのですね。
日立鉱山の全盛期時代を知らない、日立市民でもない日立市外のワタクシ幸甚が、『大雄院通り』に感じた素朴な疑問と解答でした。
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… #日立市ID
〔 この項おしまい 〕
令和けんぽくの旅19(2日目)~大津、磯原海岸、龍子山城址、日立風流物 190503
平成17年度 日立神峰神社 大祭禮 050504 ※外部サイトです
《参考文献》
- ガイドブック 日立風流物 (発行:日立市郷土博物館)
- 日立風流物 -歴史と記録- (発行:日立郷土芸能保存会)