久慈川灯籠流しの旅19~奥久慈大子花火大会
茨城県久慈郡大子町――。
『茨城百景巡歴』(室伏勇・著)の「大子の史蹟」(P126,127)に、一見すると忘れられない白黒写真があります。
久慈川の灯籠流し。
かつて、子安地蔵尊〔茨城県久慈郡大子町〕の縁日である旧06月23日に、久慈川で水難供養のために「灯籠流し」が行われていました。
著においては「今は規模を縮小して行われている」と綴られています。
この書籍『茨城百景巡歴』が発売されたのは、昭和54年(1979)。
書籍が発売されて40年近く経過しています。また、茨城百景が制定されたのは昭和25年(1950)です。
掲載されている土地や風景は変貌していることも多く、この「久慈川の灯籠流し」もまた、絶たれた文化であろうと思っていました。
ところがあるとき、大子町のサイトを拝見していると、「奥久慈大子 花火大会」が(2019)08月14日(水)に催されることを知りました。
さらに「灯籠流し」の文字を発見してしまいました。
かつての「子安地蔵尊の灯籠流し」とはコンセプトは異なるのかもしれませんが、「久慈川の灯籠流し」という目線では正解かもしれない。
と思い、訪問を計画したのでした。
台風10号の影響で、奥久慈花火大会は行われるのか?
『奥久慈花火大会(灯籠流し)』は19時30分スタート。最寄り駅は水郡線の常陸大子駅になります。常陸大子駅への訪問は、イベント要素や地理的要素を考えると、日帰り訪問は無理。宿泊する必要があります。
事前に宿泊先を検索しましたが、お盆の時期ということもあってか、自分の条件に合う宿泊先を見つけることがなかなかできませんでした。
その中で、水郡線常陸大子駅からひとつ隣の駅になる、袋田駅の「北條旅館別館」さんを見つけることができました。
なんとか宿を押さえました。が、今度は大会1週間前には台風10号が発生し、ゆっくりと太平洋上を移動していました。
もしかしたら台風が10号が茨城県に直撃するかもしれない。とヒヤヒヤしていたら、西日本方面に台風は移動していきました。
花火大会(灯籠流し)の2,3日前に大子町役場に問合せしたところ、「14日の花火大会、灯籠流しは実行する予定です」という趣旨の回答ももらえたので、旅立つこととなりました。
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輪行で奥久慈方面へ向かう
ワタクシの身内でも、お盆に関する行事があり、埼玉を離れられない。事前に大子町での連泊ができません。出発は大会当日の14日です。
花火、灯籠流し会場となる最寄り駅は、水郡線常陸大子駅。
宿泊先の袋田地域から会場までは、道なりで10キロ程度離れています。
水郡線は終電運行時間が早く、この区間の路線バスは祝祭日は運行していないことが分かっていました。よって、宿と会場の移動手段は自転車(ロードバイク)に決定しました。
※当日、水郡線がイベント用に臨時列車(常陸大宮方面 行 21:51)を運行することを知りました。
地元駅から輪行します。
お盆休みとは言え、人によっては平日だし、帰省ラッシュがあるかも。
早い時間の通勤時間帯を避け、少し遅めに出発します。
最寄り駅→水戸駅→常陸大子駅の輪行移動工程だと、特急乗り継ぎで適切な便がなく、鈍行で水戸駅まで行っても到着時刻に差はありません。特急に乗っても、時間的優位に立てません。
・我孫子駅で冷やしうどん+唐揚(1コ)
常磐線 グリーン車輪行
水戸駅までの常磐線はグリーン車が空いていたので、グリーン車を利用します。土浦駅を過ぎてからは、グリーン車車両に誰もいなくなり、寝台車の個室デラックスみたいな優雅さを堪能してしまいました。
・グリーンアテンダントから、コーヒーを買う
土浦駅以北はグリーンアテンダントが乗車しないけど、まれに警備員が巡回しに来ます。また、繁忙期はいつもと違うタイミングで巡回することを確認しています。
お盆の時期は混み合う水郡線(2両編成)
水戸駅で常磐線から水郡線に乗り換えます。北上。
水郡線の車両は平日であることと帰省の時期も重なったためか、2両しかない車両内はたいへん混んでいます。。
お盆の繁忙時期なので、水郡線の車両は「4両編成(2両+2両)」かと思ったら、2両編成だった。。また、水戸駅構内では、電光掲示板に車両数が表示されない仕様で、実際にホームに列車が入線するまで何両編成なのかが分からないのが不親切だと思いました。。
ワタクシの輪行自転車が他の人の迷惑にならないか、とても気を遣います。
台風10号の影響を鑑みながら、どの駅で降りようか検討。
宿泊地の最寄り駅は袋田駅だけど、宿のチェックイン時間には3時間程度の余裕がある。
天気が良ければ袋田駅のもっと手前で下車し、自転車で袋田駅まで久慈川沿いを北上していくことも考えていました。
お昼12時を回りました。
今日はあまり無理せず、まずは宿にチェックインして、計画を整えよう。
宿泊最寄り駅となる袋田駅で降りることに決め、車掌にSuicaを精算してもらいます。(袋田駅はSuicaに対応していない)
また、車内の車掌による精算の際、「Suicaの入場記録」を消去(取消?)してくれます。
袋田駅 ~袋田駅からの風景
袋田駅で下車。
輪行自転車、フェードアウト!
本日宿泊する、北條館別館へ向かいます。
袋田小学校近くです。
旅館 北條館別館にチェックイン
13時を回ったばかり。
女将さんに「チェックインをしておきたい。可能なら、荷物も置いていきたい」と話したら、チェックインさせていただき、部屋まで通していただきました。
部屋で荷物を整理し、ちょっと休憩して出発です。
旅館の場合、ロゴ入りのタオルが用意されているケースが多い。ロゴ入りタオルはもらって帰れる。収集家にとっては、うれしいおみやげなのです。
北條館別館 おとなり で昼食ランチ
お昼ご飯をどうしようかしら?と思ったら、旅館に併設されている食事処「otonari(おとなり)」で「軍鶏丼」をいただきます。1540円?
軍鶏はブリブリしていて、かなりおいしい。
茨城百景 袋田温泉と四度瀧
台風の影響を感じさせない、穏やかな久慈川
国道118号を北上していきます。
北田気付近で国道を外れると、久慈川沿い近づくことができます。
久慈川は穏やか。台風の影響は感じられない。
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大子観光やな
観光施設「大子観光やな」。
久慈川沿いではすでに、場所取りが始まっています。
大子観光やなでは花火大会当日の座席は事前予約制となっています。FAXで予約をしておくと、バーベキューなどをいただきながら座席(屋外テラス、建物1階、2階)で花火鑑賞ができるようです。
FAXで事前予約を行っていることを、サイトで確認しています。
常陸大子駅周辺は、たくさんのお祭り来場者で賑わう。
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旧 上岡小学校
花火が始まる(19時30分)まで4時間以上あるので、茨城百景「如信上人の墓」がある、法龍寺方面に足を伸ばします。
旧上岡小学校(うわおかしょうがっこう)。国登録有形文化財。
※読み方は「かみおかしょうがっこう」ではなく、「うわおかしょうがっこう」。
夏休み期間中、上岡小学校の校舎見学ができるようです。
旧上岡小学校の校舎〔第一棟〕は、水戸の茨城県立歴史館にある「旧水海道小学校」に次いで古い建物だそうです。水海道の校舎は移築された建物だから、“もともとの場所ある校舎”という意味では、上岡小学校校舎が一番古いことになります。
出発しようとしたら、通り雨。
iPhoneで天気図(雨雲の様子)を確認すると、台風10号の影響かところどころ雨雲のかたまりが発生しており、これが通り雨。
茨城百景 包含風景 依上古城址
茨城百景 包含風景 下金沢八景
大子町の下金沢地区は、茨城百景の包含風景に含まれています。
先ほどの上岡小学校の係の方にも質問しましたが、「下金沢八景」とされる場所は不明でした。
相川地区の観光案内
なかなか趣深い、手作りの相川地区の観光案内板。
県道158号に入っていくと相川地区があり、相川地区は旧依上村に属していた。上郷、下郷、相川新田の三地区からなる集落。通称「鷲子街道」と呼ばれた道路が相川集落の中央を走る。
茨城百景 如信上人の墓
法龍寺には、如信上人の墓があります。
如信上人は浄土真宗の開祖親鸞聖人の孫にあたります。親鸞の遺命を受けて東国の布教にあたっていました。毎年11月の親鸞の命日には京へ上ることを常としていました。正安元年(1299)も京へ上り、その帰り道に上金沢の地に住んでいた弟子の乗然房信海の家に立ち寄りました。しかし、長旅の疲れからか如信上人は病気となり、翌年01月04日に62歳で亡くなりました。
榧(かや)・・・樹齢およそ710年あまり。正応02年(1289)、門弟乗善房が草庵を結んだときに、如信上人が自ら植えたと伝えられています。大子町指定天然記念物。
銀杏・・・樹齢およそ690年あまり。正和元年(1312)、本願寺第三代の覚如上人が如信上人の十三回忌の法要を修した折に植えたと伝えられています。
お祭り会場へ戻ります。
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セブンイレブンで夕食をいただく
常陸大子駅周辺まで戻ってきました。時刻は17時30分を過ぎたところ。
セブンイレブンでドリンクと、梅干しのおにぎりと、焼き鳥を買って夕食としていただきます。
茨城百景 包含風景 久慈川の燈籠流し
久慈川を見ると、灯籠流しが始まっています。自転車を大子町役場に置かせてもらい、花火大会が始まるまで灯籠流しを撮影。
19時30分からは花火大会。
【動画 02:58】奥久慈大子 花火大会 / 最終演目:スターマイン
20時30分には、花火大会は終了。
自転車を回収し、旅館に戻ります。
旅館へ帰る国道118号(上り)は大渋滞。旅館の女将さんが言っていたとおり、自転車の方が早く旅館に到着できる感じです。
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旅館 北條館別館にて宿泊
22時前には旅館に到着。
大浴場の利用は23時まで、となっているので、風呂へ。
旅館の前にある茨城百景「袋田温泉と四度瀧」を眺めて、自販機まで歩いて飲み物を買いに行きます。
茨城百景碑に(物理的に)こんなに近い場所で宿泊するなんて、初めてなんじゃないかなぁ~。
本日の行程 / 袋田駅到着以降
《この項おしまい》
>>「からかさ万灯の旅19〔失敗編〕_~袋田から神立へ_190815」へつづく
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